変形性膝関節症

膝に見られる変形性関節症を特に変形性膝関節症とよびます。

変形性膝関節症の患者数

国内の変形性膝関節症患者数は自覚症状を有する患者で約1000万人、X線撮影で診断される潜在的な患者で約3000万人と推定されます。
発病率は高齢になるほど上がり、高齢化の中、患者数は年々、増加しています。
また、男女比は50歳以降では、女性のほうが男性よりも1.5倍~2倍多いことがわかっています。

変形性膝関節症の治療法

治療方法は大きく分けて保存療法手術療法の2通りです。
日常生活に大きな支障をきたすほどの重度な機能障害や疼痛があり、保存療法ではコントロール困難である場合に手術療法の適応となります。

保存療法

主に薬物療法と運動療法があります。

  • 運動療法
    大腿四頭筋など膝関節周囲の筋肉を鍛える治療法で、筋肉増強により関節への負担や衝撃を和らげることが目標です。筋力トレーニングにあたっては、痛みや関節への過負荷に配慮した方法が主に採用されます
  • 薬物療法
    膝関節に起きた炎症を消炎鎮痛剤で抑える治療法です。 湿布や軟膏などの外用薬の他、内服薬、さらにヒアルロン酸ナトリウムを関節の中に直接注射する注射療法が存在します。

手術療法

大きく分けて関節温存術と人工関節置換術に分けられます。
手術を受けるべきかどうか、いつ手術を受けるべきか、受けるならどの手術方法が最も適しているかなど、専門医と詳しく話し合う必要があります。

  • 関節温存術
    もともとの骨・関節を残しつつ、変形を矯正したり、傷んだ軟骨を移植片で修復することが目的です。具体的には関節鏡視下手術や骨切り術があります。
    変形が軽度な場合や比較的若年者に主に適応されます。
  • 人工膝関節置換術
    変形した関節を人工関節に置き換える手術です。
    重度の関節変形に対しても疼痛の改善に大きな効果がありますが、人工関節の耐用年数(平均15-20年)の問題があります。